スーパーや回転寿司のマグロはなぜ安い?市場の仲卸が教えるマグロ流通の裏側

マグロ漁船からの水揚げシーン マグロの豆知識
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スーパーや回転寿司チェーンでマグロが安く売られているのを見て、「うちで買うより安い…」と思ったことはありませんか?実はその裏には、マグロの流通のしくみが深く関係しています。名古屋・柳橋中央市場でマグロの仲卸を営む私が、業界の内側からわかりやすくお伝えします。

マグロはどうやって私たちの食卓に届くのか?

マグロが食卓に届くまでの流れをざっくりと説明すると、こうなります。

漁船 → 商社 → 市場(競り) → 仲卸 → 小売・飲食店 → 消費者

実は漁船が水揚げしたマグロは、まず商社が買い付けます。商社は漁船一隻分の漁獲を丸ごと一括で買い取る「一船買い」をすることも多く、ここで大量仕入れによるコストダウンが始まっています。その後、商社から市場に入荷し、競りにかけられます。

私たち大伸は、この流れの中の「仲卸」という立場です。毎朝競りに参加してマグロを仕入れ、市場内の店舗からお寿司屋さんや飲食店、一般のお客様に販売しています。

チェーン店がマグロを安く売れる理由

回転寿司チェーンや大手スーパーがマグロを安く提供できる最大の理由は、大量一括仕入れにあります。

たとえば、マグロを1本丸ごと(=「一本買い」)すると何が起きるか。頭、尻尾、骨まわり、血合いの多い部位……本来ならお寿司屋さんが「いらない」と断るような部位も、すべて込みで購入することになります。

でも、これが安さの秘密です。

  • 1本まるごと買うので、キロ単価が下がる
  • 頭や骨まわりはマグロ丼・ユッケ・まかない料理などに活用
  • 大量購入によって輸送コストも分散できる

チェーン店は全国の店舗に供給する規模で動いているため、産地直接契約や冷凍での大量輸入も駆使して、さらにコストを下げています。「量で勝負」のビジネスモデルです。

個人経営のお寿司屋さんはどう仕入れるの?

一方、個人経営の寿司屋さんは「1本丸ごと」は買いません。市場に来て、目で見て、触れて、良い部位だけを選んで買うのです。

中トロなら中トロ、赤身なら赤身と、欲しい部位だけをピンポイントで仕入れます。当然、仕入れ単価は高くなります。でも、だからこそ「ネタの質」で勝負できるわけです。

30年ほど前、名古屋の寿司組合には多くの個人店が加盟していました。市場にもたくさんの魚屋が軒を連ね、毎日活気がありました。しかし、回転寿司チェーンの台頭とともに町の個人経営の寿司屋さんや商店街の魚屋さんが次々と閉店し、それに比例するように柳橋市場の魚屋も少なくなっていきました。

「安いから回転寿司でいいや」という消費者の選択が、少しずつ市場の生態系を変えていったのです。

「安い」と「美味しい」は別の話

チェーン店のマグロが悪いわけではありません。コストパフォーマンスは抜群ですし、冷凍技術の進歩で品質も上がっています。

ただ、仲卸として正直に言うと——

「今日の競りで一番いい本マグロ」は、個人寿司屋の大将のもとへ行くことが多いです。市場で毎日顔を合わせ、「今日はこれが一番いいよ」とやり取りできる関係があるからこそ、良いものが届く。それが市場流通の強みです。

ぜひ柳橋市場に来てみてください!

柳橋中央市場には、知多半島や三河方面から毎日新鮮な魚介類が集まってきます。一般のご家庭でも、料亭や高級寿司店が扱うような食材をそのまま購入できるのが柳橋市場の魅力です。

また、運が良ければマグロの解体ショーを間近で見られることもあります。大きなマグロが職人の手でどんどん捌かれていく様子は、見ているだけで迫力満点!お子さんにもぜひ見せてあげてください。

町の魚屋さんや個人の寿司屋さんが減った今だからこそ、ぜひ一度、本物の市場の空気を感じに柳橋に足を運んでみてください。大伸でお待ちしています!

まとめ

  • 商社が漁船ごと一船買いし、市場に入荷する
  • チェーン店は大量一括・丸ごと仕入れでコストを下げている
  • 個人寿司屋は良い部位だけを選んで仕入れる=単価は高いが質で勝負
  • 個人寿司屋・商店街の魚屋の減少と、柳橋市場の縮小は連動している
  • 柳橋市場には知多・三河の新鮮な魚介類が集まり、高級食材も一般家庭で購入できる

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