こんにちは、名古屋・柳橋市場でマグロ仲卸を営んでいる大伸のケンです。
今日は普段あまり表に出てこない話、魚を卸した後に残る「アラ」がどうなっているのかについてお話しします。うちのマグロだけでなく、柳橋市場全体、魚屋さん全般に共通する話です。
魚をさばけば必ず出る「アラ」
魚をさばくと、身以外にも皮や骨、頭、内臓などのアラがどうしても出てきます。これはマグロに限らず、市場で扱うあらゆる魚に共通することです。マグロのように大きな魚であればあるほど、1本あたりから出るアラの量も相当なものになります。
柳橋市場には130店舗ほどのお店があり、その多くが鮮魚を扱っています。毎日どの店からも同じようにアラが出るわけですから、市場全体で見るとかなりの量になります。これを個々の店がバラバラに処理するのは現実的ではないので、市場には専門の回収業者さんが定期的に来てくれて、各店から出るアラをまとめて引き取ってくれる仕組みになっています。
回収されたアラのその後
回収されたアラは、多くの場合、肥料などに再利用されているようです。魚のアラには骨や内臓など栄養分が豊富に含まれていて、これを発酵させたり加工したりすることで、農業用の肥料として生まれ変わります。
魚の体は捨てるところがほとんどなく、私たちの手を離れた後もきちんと形を変えて役立てられているというのは、毎日魚を扱っている身としても、あらためて考えるとありがたいことだと思います。市場で働いていると当たり前になってしまいがちですが、こうした裏側の仕組みがあるからこそ、私たちも安心して仕事に集中できているのだと感じます。
実は回収費用が上がってきている
ただ、最近少し気になっていることがあります。それは、アラの回収費用がじわじわと上がってきていることです。
理由のひとつは、市場全体で魚屋の数が減っていることだと思います。以前の記事でも触れましたが、柳橋市場でも空いたテナントに飲食店やカフェが入るケースが増えていて、昔ながらの魚屋が少しずつ減ってきています。
回収業者さんからすると、1軒あたりから回収する量は変わらなくても、回収先の軒数が減れば、1軒あたりの移動や手間にかかるコストは上がってしまいます。効率が悪くなる分、そのしわ寄せが費用に跳ね返ってくるというわけです。
これは私たち魚屋にとっても地味に負担になる話で、正直、経営を続けていく上で無視できないコストになりつつあります。売上や仕入れ値の変化はよく話題になりますが、こういう目立たない部分のコスト増加というのは、あまり知られていないのではないかと思います。
市場の店舗数減少がもたらす連鎖
魚屋が1軒減るというのは、単にその店がなくなるというだけの話ではありません。市場全体で見ると、ゴミやアラの回収、氷の共同購入、警備や清掃の負担など、みんなで分け合っていたコストを、残った店舗で少しずつ多く負担することになります。
こうした地味な負担の積み重ねが、また次の廃業につながってしまう可能性もあり、正直なところ楽観はできません。それでも、市場に新しい飲食店やカフェが増えて賑わいが生まれているのも事実なので、悪いことばかりではないと前向きに捉えるようにしています。
普段、皆さんの目に触れることのない部分ですが、魚は身だけでなく、その先のアラまで無駄なく活用されています。そしてその裏側には、市場という場所が抱えているリアルな課題も見え隠れしています。市場の裏側にはこういった仕組みや変化があることも、少し知っていただけたら嬉しいです。


コメント