マグロ屋の包丁は毎日研ぐ!プロが「自分の包丁は自分で研ぐ」理由

マグロ屋の日常
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こんにちは、名古屋・柳橋市場でマグロ仲卸を営んでいる大伸のケンです。

今日は、マグロ屋の商売道具である「包丁」の話。私たちが毎日どうやって包丁を手入れしているのか、プロの研ぎの習慣についてお話しします。

マグロ屋の包丁たち

アイキャッチの写真は、うちで使っている包丁です。いちばん長いのがマグロ包丁。大きなマグロを一気に引き切るための、刀のような包丁です。ほかにも柳刃や出刃、小刀など、用途に合わせて何本もの包丁を使い分けています。

マグロ包丁は刃渡りが長いぶん、研ぐのもひと苦労です。砥石の上を端から端まで、刃全体をまんべんなく滑らせて研いでいく。普通の包丁の何倍も時間がかかります。

研ぐのは毎日。仕事終わりの日課です

包丁を研ぐのは、毎日です。仕事が終わったあと、その日使った包丁を必ず研いでから帰る。これがマグロ屋の日課です。

仕事終わりにマグロ包丁を研ぐ様子

写真は、仕事終わりにマグロ包丁を研いでいるところです。毎日マグロを切っていると、刃は目に見えないレベルで確実に鈍っていきます。「まだ切れるから大丈夫」ではなく、切れなくなる前に毎日研ぐ。だからこそ、翌朝も気持ちよくマグロを引くことができるんです。

砥石の使い分け

普段の手入れは仕上げ砥(しあげど)で研ぎます。ただ、細かい刃こぼれがあるときは、まず荒砥(あらと)で刃を整えてから、仕上げ砥で研ぎ上げます。

荒砥は粒が粗く、刃を削って形を直すための砥石。仕上げ砥は粒が細かく、刃先をなめらかに研ぎ上げるための砥石です。この使い分けは、ご家庭で包丁を研ぐときにも役立つ考え方だと思います。毎日研ぐのは難しくても、月に1回研ぐだけで、包丁の切れ味は見違えるように変わりますよ。

自分の包丁は、自分で研ぐ

そして、これがプロの世界ならではのルールかもしれません。自分の包丁は、毎日自分で研ぐ。これが鉄則です。

なぜかというと、他の人に研いでもらうと、刃の角度が変わってしまうからです。包丁の刃の角度は、研ぐ人の手のくせがそのまま出ます。長年自分で研ぎ続けた包丁は、自分の研ぎぐせに合った刃がついていて、それが一番よく切れる。他の人が研ぐと、その角度が崩れて、とたんに切れなくなってしまうんです。

だから、うちでは誰かに研ぎを頼むことはありません。それぞれが自分の包丁に責任を持つ。包丁は商売道具であると同時に、その人の仕事そのものなんです。

切れる包丁は、マグロの味を守る

「そこまでして毎日研ぐ必要があるの?」と思われるかもしれません。でも、切れる包丁とそうでない包丁では、マグロの仕上がりがまったく違うんです。

よく切れる包丁は、身の繊維をつぶさずスパッと切るので、断面がなめらかでツヤが出て、角がピンと立ちます。逆に切れない包丁だと、繊維を押しつぶしながら切ることになり、断面がぼそぼそになって、見た目も口当たりも悪くなってしまう。切れ味は、マグロの美味しさに直結しているんです。

プロでも、たまに切ります(笑)

最後に正直な話をひとつ。研ぐときは、左手で包丁の刃を上から押さえて砥石に当てるのですが、このとき、左手の手のひらの腹を砥石と刃で挟んで、切ってしまうことがあるんです。毎日研いでいるプロでも、これはたまにやります(笑)。

ご家庭で包丁を研ぐときは、押さえる手の位置に十分気をつけてくださいね。ちなみに「切れない包丁のほうが安全」と思われがちですが、実は逆です。切れない包丁は余計な力が入るぶん、すべったときのケガが大きくなりやすい。よく研がれた包丁で、力を入れずに切るのが一番安全なんです。


よく切れる包丁は、マグロの断面を美しくし、味さえも変えます。毎日の研ぎは地味な作業ですが、美味しいマグロをお届けするための、大事な大事な仕事のひとつです。

柳橋市場に来られた際は、ぜひ包丁にも注目してみてください😊

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