「大間マグロが一番美味しいんでしょ?」
お客さんによく聞かれます。柳橋市場で35年以上マグロを扱ってきた私が、プロの本音でお答えします。
※この記事の内容は、35年以上のマグロ屋経験をもとにした個人的な見解です。科学的根拠に基づくものではありませんのでご了承ください。
「産地」とは揚がった港のこと
まず知っておいてほしいのが、マグロの「産地」の意味です。
一般の方は「大間産=津軽海峡あたりで獲れたマグロ」とイメージしますよね。でも実は、産地とは獲れた場所ではなく、揚がった(水揚げされた)港のことなんです。
つまり、大間の漁師さんが千葉の沖で獲ったマグロでも、大間港に水揚げすれば「大間産」になります。
これは魚に限った話ではありません。数年前、北海道でイカが全然獲れない時期がありました。北海道の漁師さんが鳥取の沖までイカを獲りに行って水揚げしても、「北海道産」として流通することがあります。産地の表示とはそういうものなんです。
大間ブランドに価値はある?
「じゃあ大間産って意味ないの?」というとそうではありません。
大間の漁師さんは一本釣りにこだわり、水揚げ後の処理が丁寧という面はあります。扱いの良さが品質に影響することも確かです。
ただ、私たちプロから見ると、一番重要なのは産地よりも個体の良し悪しです。品質が同程度の大間産と塩釜産を比べると、大間産の方が高値がつくのも事実ですが…それはブランドの力ですね😅
本マグロは冬が美味しい理由
産地よりもっと大事な話があります。それが「季節」です。
魚は水温が下がると、寒さに備えて身に脂を蓄えます。だから本マグロは冬が断然美味しいんです。青森産でも北海道産でも、冬に獲れた個体は脂の乗りがまったく違います。
富山の氷見の「寒鰤(かんぶり)」が有名なのも同じ理由ですよね。寒くなるほど脂が乗って美味しくなる。
実際に見比べてみてください。

赤身が濃く脂は少なめ

脂が乗って色が明るい
左が4月の千葉県産、右が1月の大間産です。色の明るさが全然違いますよね。明るいピンク寄りの方が脂が乗っている証拠です。
夏はどのマグロが美味しい?
「じゃあ夏はマグロを食べない方がいいの?」という話ですが、そんなことはありません。
日本(北半球)が夏の時、南半球は冬になります。そのため夏に美味しくなるのが南マグロ(インドマグロ)です。オーストラリア・ニュージーランド・南アフリカ産のインドマグロが、ちょうど夏の時期に脂が乗って美味しくなるんです。
▶ なぜ「南マグロ」と呼ぶの?
本マグロも南マグロも、実はフィリピンの沖あたりで産まれます。産まれた後、本マグロは北半球へ、インドマグロは南半球へ移動していくんです。南の海に向かうから「南マグロ」というわけです。
まとめ:美味しいマグロを選ぶコツ
- 産地より季節を見る:本マグロは冬(11〜2月頃)が脂の乗りがピーク
- 夏は南マグロ(インドマグロ):南半球が冬になる夏に美味しくなる
- ブランドより個体で選ぶ:大間産でも千葉産でも、冬の良い個体は美味しい
- お店のプロに聞く:「今一番脂が乗ってるのはどれですか?」と聞いてみてください
35年マグロを扱ってきた私の本音は、「産地のブランドより、季節と個体を見てほしい」ということです。ぜひ次にマグロを買う時の参考にしてみてください!


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